テーブルの上に5本のボトルが並び、初めてお会いする方も席に着いた昨夜。最初は少し緊張した空気も、ワインが進むにつれていつの間にか消えていました。
気づけば笑い声が絶えず、最後には全員で「美味しかった!」と言い合える夜になっていました。それが何より嬉しい瞬間です。
9年目を迎えたワイン会
毎月開催しているニュージーランドワイン会が、来月でちょうど丸9年を迎えます。
スタートしたのは2017年の6月。以来、コロナ禍による一時中断はありましたが、「もう一度あの場が欲しい」と思ってくださるリピーターの方々に背中を押される形で、毎月開催しておりました。気づけば今月で9年目、来月からいよいよ10年目に突入します。
この会では毎回、5種類のニュージーランドワインとそれに合わせた手作り料理のペアリングをお届けしています。ワインについて語るだけでなく、料理も私のライフワークのひとつ。たくさんの方に味わっていただける機会があることを、心から感謝しています。
昨日のラインナップは以下の5本でした。

① アクルクス シークレットバレル ソーヴィニヨン・ブラン
最初の一杯は、インポーターのサザンクロスさんがオリジナルで手がける「アクルクス・シークレットバレル」というラベルのソーヴィニヨン・ブランです。
先日のサザンクロス試飲会でグラスに注いだ瞬間、「これは普通のNZソーヴィニヨン・ブランじゃない」と感じました。サザンクロスさんがノウムというワイナリーと深い親交があったことから生まれたこのワインは、ソーヴィニヨン・ブランを少し樽熟成させています。
ニュージーランドの典型的なソーヴィニヨン・ブランといえば、フレッシュで果実感たっぷり、青草のような爽やかさが特徴です。このワインはそういった要素を残しつつも、樽熟成を経ることで格段に落ち着いた雰囲気になり、複雑なレイヤーが重なります。
合わせたのは、レンコンと新玉ねぎのクミンソテー。クミンのスパイシーな香りとレンコンの食感、玉ねぎの甘さが絡み合い、樽熟成ソーヴィニヨン・ブランのまろやかな複雑さと見事にマッチしました。スパイスと樽熟成の親和性——これは実際に試してみると「なるほど」と膝を打っていただけるペアリングです。

② パリサー・エステート リースリング
2本目は、マーティンボロー産のリースリングです。
実はこのワイン、昨年パリサーを訪問した際にもテイスティングさせていただきました。その時の印象が忘れられずに、今回の会でも皆さんにご紹介することに。甘みと酸味が絶妙なバランスで共存していて、一口飲むたびに何層にも重なるレイヤーが口の中で展開していきます。繊細という言葉がこれほど似合うリースリングは、なかなかありません。
合わせたのは、ズッキーニとアスパラのパン粉焼き。パン粉のカリカリとした香ばしさ、チーズのコク、しっかりと焼き上げた野菜の旨味——これらがリースリングの甘みと酸味に寄り添い、料理もワインも互いに引き立て合っていました。

③ ノイドルフ ロージーズ・ブロック アルバリーニョ
3本目は、先日のノイドルフのセミナーで改めて感銘を受けた一本です。
アルバリーニョはスペインのガリシア地方を原産とする白ブドウ品種で、ニュージーランドでも生産者はまだ少なく、非常に希少な存在です。その中でノイドルフのアルバリーニョは別格だと感じました。
まろやかで、すごく落ち着いた味わい。「夕日の中で草原を眺めながら飲んでいるような」——そんな情景が頭に浮かぶ、たくさんのテクスチャーとレイヤーを持つワインです。
合わせたのは、真鯛のマスタードクリームソースのポワレ。マスタードクリームのほどよい辛みと香り、真鯛の上品な旨味が、アルバリーニョの複雑さと絡み合って、とても上品なペアリングになりました。

④ ブラッケンブルック シャングリラ ピノ・ノワール
赤ワインの1本目は、ネルソン産のピノ・ノワールです。
「ピノ・ノワールのペアリング料理って、お肉ですよね?」——そう思っていた方が多かったようで、今回の料理を見て驚かれていました。合わせたのは、黒舞茸と平茸のソテー、ビーツの水煮、フェタチーズのサラダです。
ビーツという根菜の持つ土臭さや甘み、醤油とバターで味付けしたきのこの香ばしさと旨味——これらがピノ・ノワールの赤系果実の風味と見事に呼応します。「お肉なしでもこんなに合うんですね!」と何人もの方がおっしゃっていたのが嬉しかったです。きのこの「森」の香りはピノ・ノワールの最高のパートナーのひとつ。

⑤ ブラックコテージ シラー
最後はホークスベイ産のシラーで締めくくりました。
シラーといえばコショウのようなスパイシーな香りが魅力の品種です。その個性を活かすために合わせたのは、豚肩ロースのマデイラ煮込み。マデイラと赤ワインソースでじっくりと煮込んだ豚肩ロースを、野菜とともにスープ形式でお出ししました。
深みのあるソースの甘さとコク、柔らかく煮込まれた肉の旨味、そしてシラーのスパイスの香り——それらが一体になって、ほっとするような豊かな余韻が続きます。「この味を表現するのに、ただ『おいしい』としか言えないのがもどかしい」とおっしゃる方もいらして、それが何よりのご褒美のような喜びのお言葉でした。

「美味しい」という言葉が、私の幸せ
最初は「初めまして」だった皆さんが、ワインと料理が進むにつれてどんどん打ち解けていく——この時間が、9年間この会を続けてきた理由です。
美味しいものは場を作ります。場は会話を生みます。そしてその会話の中に、ニュージーランドワインがある。それだけで十分です。
ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。次回のワイン会の案内は、メルマガおよび公式LINEでお知らせします。まだご登録がお済みでない方は、ぜひこの機会にご登録ください。








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