ずっと来たかった場所——ホークスベイ、クラギーレンジへの初訪問

ホークスベイを訪れるたびに、いつか必ず行きたいと思っていた場所がありました。

テ・マタ・ピークの麓、なだらかな丘の上に広がるクラギーレンジ。その名前はずっと頭の中にあったのですが、タイミングが合わずに先延ばしになっていました。ようやく訪れることができたのは、ホークスベイに来て3日目の午後のことでした。

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1000年のファミリートラスト——売らないという覚悟

クラギーレンジは、アメリカ人ビジネスマンのテリー・ピーボディ氏とその息子が1998年に設立した家族経営のワイナリーです。

設立にあたって、ピーボディ家は特別な決断をしました。「このワイナリーを、これから1,000年にわたって家族のものとして守り続ける」——そう宣言し、ワイナリーを永久に売却できないよう法的に縛った「1,000年ファミリートラスト」を設立したのです。

「テリーが言っていました。土地は投資対象ではなく、守るべき遺産だ、と。私たちは1,000年後の家族のためにここを管理しているにすぎない」とガイドのスタッフが語ってくれました。その言葉は、ワイナリー全体が持つ静かな誇りと一致していました。

建物もそれを体現しています。テ・マタ・ピークを正面に仰ぐ位置に建つ石造りのメイン棟は、数百年後の子孫のために建てられた、とも見える重厚さを持っています。


テ・マタ・ピークを眺めながらのランチ

予約していたレストランは、建物の中心部に位置するダイニングです。大きな窓の向こうに、テ・マタ・ピークがどっしりと構えています。

平日のランチでしたが、多くのお客様でとてもにぎわっていました。

この日いただいたのは、ホークスベイ産のアスパラガスを使ったひと皿。アーモンドをまとった香ばしい仕上げで、サクサクとした食感と野菜の甘みが心地よく調和していました。合わせたのはクラギーレンジのシャルドネです。樽の効いた丸みのある質感が、アーモンドのニュアンスと見事にリンクしました。

 

料理と土地とワインが一体になる瞬間というものがあります。このランチは、まさにそういう時間でした。「この料理もワインも、テ・マタ・ピークなしには生まれなかった」という気がしました。


醸造施設と、希少なソフィアとの出会い

食後はワインテイスティングとワイナリーツアーへ。スタッフの案内で発酵タンクと樽熟成セラーを見学しました。

地下のバレルセラーは涼しく、熟成中のワインの香りが漂っていました。何百本もの樽が整然と並ぶ光景は、何度見ても圧倒されます。「この樽のほとんどはフランス産オークで、1本あたり数万円。毎年一定割合で新品に入れ替えます」とスタッフが教えてくれました。ワインの値段の背景にある「コスト」が、初めてリアルに感じられた瞬間でした。

ツアーの最後に特別な試飲がありました。「ソフィア」——クラギーレンジの最高峰ブレンドで、例外的に良いヴィンテージにしか造られない銘柄です。今回いただいたのは2015年。グラスに注ぐと、深いルビー色が揺れました。

一口含んだ瞬間に感じたのは、「深さ」という言葉しか見当たらない複雑さでした。ホークスベイの砂利質土壌が生む凝縮感と、10年以上の熟成が加えた滑らかさ。そして、まだまだ塾生のポテンシャルを感じさせる力強さ。「良いヴィンテージしか造らない」という哲学が、1本のワインの中に体現されていました。


Cave de Uで買えるホークスベイのワイン

現在Cave de Uでは、クラギーレンジ製品の取り扱いはございません。ホークスベイのワインとしては、ギムレット・グラヴェルズを代表するトリニティ・ヒルのラインナップをお取り扱いしています。ぜひこちらもご覧ください。

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