クイーンズタウンから車を走らせて15分ほど。ワカティプ湖に沿った道を南に下ると、やがて丘の上に石造りの建物が現れます。
アミスフィールドに初めて足を踏み入れたのは、10年近く前のことです。初秋の午後、レンタカーを借りて走ってきました。「すごい」と車の中で呟いたことを、今でも覚えています。あれから2度の訪問を重ね、今回は初めてCave de Uのお客様をお連れしました。建物を前にして、私と同じように「すごい」とつぶやいたお客様の顔が忘れられません。
石造りの建物と、ガストロノミーの世界
アミスフィールドは、クイーンズタウンの中心部から10〜15分ほどの場所にあります。市街地を抜けると、5分ほどでセントラルオタゴの静かな丘陵が広がり、その先に石灰岩造りの建物が姿を現します。
外壁に使われているのはこの地域で採れる石灰岩。古い礼拝堂のような落ち着いた佇まいは、初めて訪れた人を必ず一度立ち止まらせます。「これがワイナリーなのか」と思わせるだけの品格があります。
今回は初めてお客様をお連れしたことで、自分でも改めてこの場所の特別さを実感しました。建物を見た瞬間の「すごい」という言葉が、連れてきた甲斐があったと思わせてくれました。


アミスフィールドが世界的に知られる理由は、ワインだけではありません。敷地内のレストランは世界的に有名な「Food & Wine」誌が選ぶリストに名前を連ねる名店です。かつて、世界第3位のレストランとして選ばれたこともあります。
セントラルオタゴの地元食材をふんだんに使った料理は、ワインとの完璧な一体感を生み出しています。「私たちの料理もワインも、この土地を体で感じてもらうためのもの」とセラードアのスタッフが語ってくれました。
最新のガストロノミーをベースにしながらも、地産地消にこだわった野菜中心の料理の数々が次々と運ばれてきます。どれも見た目から非常に華やかで美しく、そして一口いただくたびに、しばらく余韻に浸ってしまうほど素晴らしい一品の連続でした。お皿の上でもまた、セントラルオタゴという土地そのものが表現されているようでした。


①ブリュット スパークリングワイン
テイスティングの最初を飾ったのが、このスパークリングワインです。3回の訪問のうち、毎回最初に向かう一本です。
シャンパーニュと同じ「メトード・トラディショナル(瓶内二次発酵)」で造られ、シャルドネとピノ・ノワールのブレンドです。グラスに注ぐと、きめ細かな泡がゆっくりと立ち上がります。一口含んだ瞬間、セントラルオタゴのピノ・ノワールが宿す複雑なレイヤーが口いっぱいに広がりました。果実の甘さ、「トースト香」と呼ばれる焼いたパン生地のようなニュアンス、そして凛とした酸味。「これはシャンパーニュと同じ世界だ」とお客様が目を丸くしました。
残念ながら、このスパークリングは日本未入荷です。現地のセラードアでしか購入できません。クイーンズタウンを訪れた際には、ぜひ最初の一杯に選んでみてください。

②ソーヴィニヨン・ブラン
次に登場したのが、セントラルオタゴ産のソーヴィニヨン・ブランです。
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランといえばマールボロの青草スタイルを思い浮かべる方も多いかと思います。アミスフィールドのそれは、まったく異なる表情を持っています。
グラスに近づけると、ディルやチャービルのような繊細なハーブの香りがします。時間とともにマンゴーやグアバのようなトロピカルなニュアンスも現れてきます。口に含むと、マールボロのシャープな酸とは異なる、まろやかでふくよかな質感があります。セントラルオタゴという産地の特性が、品種の個性そのものを塗り替えているのです。
「同じ品種でも、産地によってこれほど違うのか」と感じさせてくれる一本です。Cave de Uでもお取り扱いしているので、日本でもその個性をお楽しみいただけます。

③ピノ・ノワール
アミスフィールドの名を世界に知らしめているのが、このピノ・ノワールです。
現地では単一畑のプレミアムラインから手頃な一本まで複数のラインナップが揃っており、訪問のたびに異なるヴィンテージを楽しめます。日本への輸入は1種類に絞られていますが、それでもセントラルオタゴのテロワールがしっかりと詰まっています。
夏の強い日差しと朝晩の大きな寒暖差が、ぶどうに凝縮感と複雑な香りを与えます。赤系果実の鮮やかな甘みとやわらかな渋み、そして飲み終えた後も長く続く余韻——そこにはセントラルオタゴという土地の物語が詰まっています。
テイスティングの最後にこのピノ・ノワールを口にしたお客様は、しばらく無言でした。ゆっくりとグラスを置いて、一言。「これ、家でも飲みたいですね」。その言葉が今回の訪問の締めくくりになりました。

Cave de Uで購入する
アミスフィールドのワインは、Cave de Uでお取り扱いしています。現地でしか飲めないスパークリングはクイーンズタウン旅行の楽しみとして取っておいて、ソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールは日本でもその個性をご堪能ください。




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