ニュージーランド・マーティンボローに、小さなワイナリーがあります。
看板も派手な案内もありません。でも、扉を開けると、一人の男性が満面の笑みで迎えてくれました。それがウィルコでした。この日の2時間が、ワインに対する私の見方を少し変えてしまいました。
オラテラって、どんなワイナリー?

「オラテラ(Oraterra)」は、マーティンボローに生まれたばかりの小さなワイナリーです。
創業者のウィルコ・ラムは、オランダ出身。ホテルマネジメントを学んでいた学生時代にワインに魅了され、ニュージーランドへ渡りました。その後、マーティンボローの名門「ドライリバー(Dry River)」に参加し、約10年間チーフワインメーカーとして同ワイナリーのワイン造りを担いました。ドライリバーのオーナーが代わったことを機に、長年ともに働いてきた仲間6名と独立を決意。2022年秋に自らのワイナリー「オラテラ」を立ち上げました。
規模は決して大きくありません。でも、その小ささが、このワイナリーの大きな個性でもあります。
樽の前で過ごした、2時間
訪問したその日、ウィルコは一人で出迎えてくれました。
簡単にお互いの自己紹介をした後、案内されたのは、醸造の場そのものです。木の樽が並ぶ、静かで少し無機質な空間でした。ウィルコは実際にワインをテイスティングしながら、ざっくばらんにディスカッションしようと提案しました。
「飲んでみて、どう思う?」と言いながら、細いスポイトのような道具(ワイン泥棒、と呼ばれるものです)を、ワインの眠る樽に差し込み、そのまま直接グラスに注いでくれました。
市場にも出ていない、まだ眠っているワインです。その原石を、一つひとつ。
ピノ・ノワールを、また別の樽のピノ・ノワールを、そしてシャルドネを。「これはどうだ」「こっちは?」と目を輝かせながら次々と持ってくるウィルコの姿は、まるで宝物を見せたくて仕方ない少年のようでした。
私たちは2時間、そうやって話し続けました。

実験を楽しむ、ウィルコのワイン哲学
オラテラでは、いくつもの「実験」が同時に進んでいます。
マーティンボローのピノ・ノワールといえば「エイベル(Abel)」という品種の株(クローン)が有名です。でもウィルコは、それ以外の株も積極的に植えています。「この区画ではこのクローンを、あの区画では別のクローンを」と、それぞれがどんな個性を持つか、じっくり見ながら育てています。
熟成に使う樽も、新しいものと古いものを使い分け、その比率もワインによって変えています。ブドウの個性、樽の組み合わせ、熟成の時間——その無数の掛け合わせのなかから、「これだ」という一本を見つけていきます。
ウィルコはその過程を、心から楽しんでいました。「これはどう仕上げようか」と考えるとき、彼の目がいきいきとしていました。ワイン作りが仕事である以前に、人生の喜びそのものだということが、その表情から伝わってきました。
ワインは、人が作る
この日飲んだピノ・ノワールとシャルドネは、まだ未完成の状態でした。でも、その中に確かなポテンシャルがありました。丁寧に育てられ、愛情を注がれているワインの、まだ言葉にならない何かを感じました。
ボトルに入ってラベルが貼られると、それは「商品」になります。でも、その前の段階では、誰かの情熱と時間と選択が詰まっています。オラテラのワインは、ウィルコそのものだと思いました。

Cave de Uとオラテラ
Cave de Uは、こういうつくり手のワインを届けたいと思っています。顔が見える、哲学がある、その土地を愛している人が作るワインを。
ウィルコが樽の前で見せた笑顔を思い浮かべながら、ぜひ一度、オラテラのワインを手に取ってみてください。Cave de Uでお取り扱いしています。

オラテラのワインをお届けします
ウィルコが丹精込めて育てたオラテラのワイン。Cave de Uから直接お届けします。
🍷 マーティンボローのピノ・ノワールについて、産地の特徴からもっと知りたい方はこちら。
→ マーティンボローのピノ・ノワールとは?ニュージーランドが誇るもうひとつの銘醸地
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